
不動産投資のよくある悩みを解決
九○年代以降、渋谷周辺の商業施設には、ガラスの透明建築が増剛えたのだが、駅も透明化したおかげで、山手線のプラットホ−ムと駅前広場が、これほど近接していたことに改めて気づく。
大胆な新築をしなくとも、ちょっと手を加えるだけで街の印象は大きく変わる。
注目される住宅の改造だけではなく、こうした都市再生のリノベーションも求められるのではないか。
バブル後の建築界の大きなテーマでもある。
その周囲に坪二○万円、二五万円、三○万円、三五万円の四パターンの予算によりリフォームした住宅を配置する。
合計すると、少しずつ違う五軒の家があり、実物を比較しながら改築の効果を確認できるのだ。
部分的ならともかく、まるごとリフォームの前後を展示するのは世界初ではないだろうか。
テレビ番組「大改造劇的ビフォーアフター」(テレビ朝日系)がうけているように、リフォームは建築の専門でなくとも楽しみやすいリフォームは建築の専門だ。
展示場には、Kによるデザイン住宅のホワイトガーデンも置く。
こちらは真っ白でキレイ過ぎるから、隣に再現された築二○年の家の古さを引き立てているかのようだ。
JR川崎駅から歩いて五分。
典型的な日本の風景のなかに、ラチッタデッラというイタリアの都市をモチーフにした街区がいきなりあらわれる。
二○○二年の末にオープンしたシネコンを中心とする複合商業施設であり、九○年代に登場した恵比寿ガーデンプレイスやヴィーナス・フォートのように、ただで楽しめるテーマパーク的な空間といえよう。
中央に現代的なガラスの楕円塔を置くが、全体的な外観は、西洋の古典主義建築を引用したポストモダン風である。
細部の装飾をかなり省略しているが、イタリア風の雰囲気はよく伝わっている。
もっとも、二階のテラスからオベリスクがのびていたり、アーチの上部がそのままショーウインドーになったり、隅部の張り出したくり形など、おかしい古典主義の細部もあった。
御愛嬬である。
日本人にはどうでもいい西洋建築の誤用なのだろう。
最大の特徴は、スケール感をうまくつかみ、歩いて楽しむ空間を演出していることだ。
道路を横断するリング状の空中歩廊もつくられている。
回遊しながら斜路をのぼり、両側に商店が展開する構成は、なるほどイタリアの街並みを感じさせる。
不整形なプランの店舗や結婚式専用の礼拝堂を見ると、自然な曲線を描く道を優先したデザインであることがわかる。
と、自然な曲線を描く道を優先したデザインである近道や階段状の円形広場も、実に都市的。
ただし、噴水のアトラクションを行うため、狭い広場には立ち入り禁止のロープがある。
真上にシエナの広場の写真を飾るものの、広場が成立しないというのも、いかにも日本的だ。
デザインは、エンタテインメント建築家のジョン・ジャーディ好イの事務所が担当。
一九九○年代以降のテーマパーク的な商業毒空間のプロジェクトでは、こうした西洋風の空間が日本に増殖している。
果たして一○年後、二○年後に本当の街らしくなる屋上庭園と、峡谷をイメージした巨大な吹抜けをもつキャニオンストリートである。
ジョン・ジャーディの事務所が設計したものである。
あちこちの開発でこの事務所がひっぱりだこなので、いささか食傷気味なのだが、なんばパークスでは新しい試みがあった。
完全に閉じた内部空間を歩くのではなく、登山をするかのように、外気に触れながらビルの屋上をのぼっていく体験は悪くない。
八階にあたる頂部からの眺めもよい。
ジャーデイの特徴は、円形を効果的に組み合わせること。
なんばパークスでも、円を反転させながらS字状につなぎ、円形劇場を設けており、ぐねぐねとした有機的な空間が出現している。
丸い吹抜けの上部には、映像スクリーンを兼ねる白い円盤が浮かぶ。
こうして、直線で構成された普通の建築とは違い、自然の地形に近い雰囲気を演出する。
道も一通りではなく、脇道や小道、さらには小川も用意され、小さな広場を随所に置く。
安普請の外装は気になるが、歩いていると、道をさまよう空間体験が味わえる。
大都市のなかに平坦な公園をつくるのではなく、複雑な人工地形をもった空中庭園をつくる試みはなかなか興味深い。
しかも、その一部を個人菜園として貸し出し、なかなかの好評を得ているという。
都市と自然の関係を再考するうえで重要な作品である。
横浜トリエンナーレの国際美術展の成功、生まれ変わった赤煉瓦倉庫など、話題の続くヨコハマ。
二○○二年、斬新なデザインの横浜港大さん橋国際客船ターミナルが登場した。
当初、審査員はどうやって図面を見たらよいか首をかしげたという。
普通の建築は、柱を並べ、梁をかけて、天井と壁をつくる。
当たり前だが、平面図や立面図をもとに設計される。
FOAの案は、床が斜めに上昇して壁になり、そのまま天井につながる。
一階や二階の区分けも不明瞭。
コンピュータにより最初から立体的に設計することで可能になったデザインである。
だから、後から既成の図面に変換すると、かえってわかりにくい。
断面図は人体をCTスキャンしたような絵柄である。
新世代の建築家ならではの発想といえよう。
若干の変更はあったものの、客船ターミナルは完成した。
屋上の広場は、木製のデッキと芝生で覆われている。
劇場のようなくぼみやフィールド・アスレチックができそうな場所がある。
親しみやすい木製デッキがでこぼことした地形をつくり、不思議な使われ方をしている。
広場の面には切れ目があって、そこから洞窟を思わせる斜路を歩くと、三角形の面が連続する折板構造の内部空間だ。
階段で昇降すれば、違う階に行く経験になるが、ここラフィックな処理を施した横浜の過去の風景が浮かぶ。
絵はがきや写真などを収集し、それらの画像を一○段階の濃淡に分解したうえで、白いドットを重ねあわせている。
つまり、横浜の情報を集積した駅であり、まるで本を制作するかのように、空間がデザインされた。
実際、編集事務所の建築都市ワークショップや装丁デザインを手がけるマッダオフィスとの共同作業になっている。
二○○四年の春、一九二九年に竣工した二つの元銀行の建物を活用する、というアート系のプログラムが横浜で始まった。
旧横浜銀行は、銅鐸型のプランをもつ古典主義の建築である。
ちょうど馬車道駅の真上に建つ。
この建物は、都市の整備計画に伴い、円形のコーナーの部分を曳家によって移動するとともに、残りの台形の部分は新築によって復元し、若返りを果たした。
興味深いのは、位置や道路が変わったとはいえ、角地に建つという環境が前と同じであること。
保存の手法として注目すべきだろう。
その結果、円形の先端部の三階バルコニーに立つと、タイタニックの紬先にいるような気分を味わえる。
実は新しいオフィスビル、横浜アイランドタワーを建設するにあたって、足元の旧横浜銀馬車道駅は、情報ではなく、モノそのものの記憶を扱う。
例えば、印象的なドーム天井が広がる改札の空間では、明治時代の煉瓦を積む。
プラットホームも、煉瓦の壁と錆色に塗装した柱が強力な存在感を放つ。
かくして煉瓦の近代建築が多い、横浜ならではの駅になっている。
またコンコースの煉瓦の壁面には、旧横浜銀行本店の手すりや金庫扉を展示し、解体された近代建築の断片を組み込む。
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